現在の主流「製作委員会方式」のメリット
前回に引き続いて、アニメ製作方式の説明です。
今回は「製作委員会方式」の説明です。
現在、アニメ製作の多くを占めるのが製作委員会方式です。
製作委員会の名前
テレビアニメだと、スタッフロールの最後に表示される「○○製作委員会」のクレジットは、誰もが見たことがあると思います。
「けいおん!」では『桜高軽音部』、「花咲くいろは」では『花いろ旅館組合』、「Steins;Gate」では『未来ガジェット研究所』のように、作品の中の団体がそのまま委員会名になっているものもあります。
この場合は「PROJECT-RAILGUN」が委員会の名前ですね。
アニメ製作にかかる費用
アニメなどのエンターテイメント作品の製作にあたっては多額の費用を必要とします。
30分のアニメを1話作るのには、1000〜1300万くらいかかります。
1クール13話くらいなので、1つの作品を作り上げるのに1億5000万円はかかります。
映画だとさらに高く、1本で3億円くらいになることもあります。
これらの資金を製作者だけで工面することは難しいのです。
アニメ製作のリスク
作品がヒットすれば多額の利益がもたらされる一方、
興行が不振に終わった場合には、多額の負債や関連商品の不良在庫を抱えるリスクが存在します。
また、経営危機とは逆に作品がヒットした後のテレビ放映権やDVD、Blu-ray化権の値段が高騰して、
テレビ局やDVD販売会社は、作品の買い付けの際に権利関係や同業他社との競合で交渉が難航することもあります。
製作委員会方式のメリット
製作委員会方式はこれらのリスクを分散・回避するために考案された方法です。
複数の会社に対し出資を募り、資金リスクを分散し、利益が出た場合はこれを出資比率に準じて分配しています。
出資スポンサーには、テレビ局・DVD販売会社・元請制作会社・広告代理店・出版社・玩具会社などが挙げられます。
例えば、制作会社ではプロダクションI.GやGONZO、京都アニメーションなどは製作委員会に出資しています。
これらの会社が参加する最大の目的は、一つの作品における各種権利ビジネスを行うためです。
テレビ放映・海外展開・ネット配信・DVD・関連書籍の出版・キャラクター版権など、
一つの作品だけでも、数百単位の権利が発生することもあります。
出資することによって、企業は作品の各種権利の独占使用権を得て、取得した権利をフル活用してビジネスを行い、
同時に作品の売上向上も図ることになるわけです。
近年における深夜のテレビアニメの本数の増加は、この製作委員会方式の導入によるところが大きいでしょう。
次回は「製作委員会方式」のデメリットを説明します!