アニメ制作の構造的問題について

2023年9月29日

以前の記事では「制作委員会方式」のデメリットを説明しました。

今回はアニメ業界の構造的問題について説明します。

アニメ業界特有の多層構造

「制作委員会方式」が主流になった今でも、

アニメ業界特有の多層構造が現場を苦しめる要因になっています。

元請けの制作会社の多くは、下請けの制作会社に各話の制作を任せるケースが多いのですが、

これが『グロス請け』と呼ばれるものです。

しかし、グロス請けの会社も制作能力に限界があるので、

さらに下請けの会社、孫請けの会社に発注をかけることになります。

つまり中間業者が多く、実際の現場には微々たる金額しか下りてこないのです。

アニメーターの労働環境は変わらないんです。

アニメ制作の構造的問題

利益配分などについても、出資を募り、宣伝を行う広告代理店などの意向に大きく影響される上に、

これらが収益の多くを持っていってしまうことから、実製作を担う現場に回る収益は少なくなります。

結局、制作委員会方式においても、広告代理店やテレビ局の優位は揺らがず、

アニメーターや声優に入るお金は変わらず、重労働を強いられることになります。

これはアニメに限らず、テレビという媒体を通すのであればドラマやバラエティにも見られるように、

広告代理店とテレビ局を中心にした番組製作の構造的な問題であると言えます。

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構造的問題を解決するには?

製作会社を中心とした構造への転換を図らないと、アニメーターや声優の労働環境は改善しないでしょう。

そのためには、テレビ局に介入されないように、配信媒体の変更をしなければいけません。

テレビという媒体を通さずに、ネットによるアニメ配信に全面的に変えていけば良いと思います。

ネットの媒体に変えることにより、大手広告代理店の影響も小さくなると考えられます。

なぜなら、テレビではなくネットのほうは、あまり儲からないので、大手はやりたがらないからです。

SHIROBAKOの制作進行・宮森あおいちゃんの給料は大丈夫?

さてこれまでは、主にアニメーターについて取り上げてきましたが、

SHIROBAKOの宮森あおいちゃんのような制作進行の給料はどうなっているかというと、

この記事で取り上げましたが、平均年収200万円ちょっとで、少ないです。凄く激務なのですが。。。

SHIROBAKOの制作元であるピーエーワークスの求人ページでは以前に月給が記載されており、

制作進行の月給は「150,000円~」と記載されており、月給が15万でボーナスがないとしたら、年収180万円です。

ということで、制作進行2年目の宮森の給料は、デスク手当があったとしても200万円を超えていない可能性があります。。。

このままのアニメ業界では駄目だと思います、変えていかないと。