Vtuberが炎上マーケティングをやってはいけない理由とは?
以前に炎上して休止したVtuber「牡丹きぃ」を取り上げましたが、
今回は炎上してチャンネル登録数や視聴回数を伸ばせることができたとしても、
炎上マーケティングをやってはいけない理由を説明します。
まずはVtuber「藍兎らび」について説明します。
Vtuber「藍兎らび」の場合
藍兎らびは、2018年3月に「地球のみんなを笑顔にする」ことをコンセプトに、
Vtuberとしてデビューしました。
2018年4月よりYouTubeで動画投稿を行っていましたが、
5月24日に「藍兎らびを助けて〜あるじさまを募集します〜」という動画を投稿しました。
内容としては、当初に想定していたよりも動画の数字が大幅に下回ったことにより、
クリエイターニンジャが「藍兎らびプロジェクト」の新しい運営先を募集するというものでした。
それまでの動画は多くて数千回程度の視聴回数であったものの、
この動画は内容がこれまでになく尖っており面白かったため、バズって視聴回数は現在2万回を超えています。
モデルをリニューアルして復活したものの…
その後、CG・映像制作会社の冬寂が事業運営を引き継ぐことが決定して、
冬寂は藍兎らびのモデルをリニューアルし、プレスタート動画を2019年1月2日にYouTubeに公開しました。
復活後の動画ということもあり、視聴回数は3000を超えましたが、
その後の動画の視聴回数は全て1000を超えていません。
企業側の狙い
企業としてはVtuberとしてデビューしたものの、動画の数値が全然伸びなかったため、
炎上やバズを狙って、「藍兎らびを助けて」動画を投稿したものだと思います。
この動画で炎上して、視聴回数が伸びて話題になれば、新しい運営先にてVtuberを続行すれば良いですし、
もし視聴回数が伸びなければ、運営先が見つからなかったことにして、休止・引退になったのではないでしょうか。
結果的に「藍兎らびを助けて」動画の視聴回数は伸びたため、藍兎らびは新しい運営先にて復活しました。
しかし、復活直後の動画の視聴回数は1000を超えているものの、その後の動画は1000の壁を超えることができていません。
復活前の動画のほうが平均視聴回数は多いくらいです。
次は「アズマ リム」について説明します。
Vtuber「アズマ リム」の場合
「アズマ リム」は視聴者を「センパイ」と呼ぶ、女子高生Vtuberです。愛称は「アズリム」です。
2018年3月からYouTubeへの投稿をスタートしており、
あざとい猫耳パーカーと絶対領域ニーソというキャラデザ、全力で挑む性格、なめらかな全身の動きなどで初期から注目を集めていたVTuberです。
現在のYouTubeのチャンネル登録者数は約18万人、ユーザーローカルが提供する「バーチャルYouTuberランキング」では18位で、Vtuberの中でもかなりの上位です。
2018年6月と9月にはeスポーツイベント「RAGE」に出演しており、同年9月にはオンラインくじを発売しました。
そして同年11月1日には、オリジナル楽曲「人類みなセンパイ!」がiTunes Storeなどで配信開始しました。
まさに活動の場を広げていた最中に、11月8日未明に下記発言がTwitterに投稿されて、炎上して話題になりました。
バーチャルストリーマー事業を行う株式会社CyberVより
アズマ リムのツイートについて謝罪がありました。
アズマ リムのTwitterアカウントより11月8日の1時~2時にツイートされた内容につきまして、アズマ リムを応援頂いているファンの皆様、協業他社様、関係者様、同業他社様にご心配、ご迷惑をお掛けいたしました事を深くお詫び申し上げます。
株式会社CyberVは、2018年5月よりVTuberアズマ リムの活動支援を行っております。
本件に関しましては、今後の活動などの話し合いを行うなかで、本人の意向を尊重できていなかったことが原因と考え、深く反省しております。
アズマ リム本人と話し合いを行い、これまで通りアズマ リムとして活動を継続することで互いに合意をいたしました。他組織への移動や転生は一切行われません。
以後、アズマ リム本人の意向を十分に尊重しながら、ファンの皆様により楽しんでいただけるよう努めてまいります。
改めて、一連の騒動を起こし、皆様にご心配とご迷惑をお掛けしましたことを心よりお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。
そして、アズマ リムによりツイートと動画が投稿され、今回の騒動について謝罪と説明を行いました。
企業側は炎上を想定していた?
2018年6月と9月にはeスポーツイベント「RAGE」に出演し、
同年9月にはオンラインくじの発売、同年11月1日にはオリジナル楽曲の配信開始と色々と展開してきたものの、
想定していたように数値は上がらず、収益は伸びなかったと考えられます。
そこで企業としては、他の組織や転生を行うことを検討したのではないでしょうか。
そのことについてアズリムに伝えた結果、11月8日のツイートにつながったと考えられます。
ただ、企業側がアズリムのツイートを想定していなかったのかというと、もちろん想定していたと思います。炎上・バズることまで想定していたでしょう。
運営企業はあのIT大手のサイバーエージェント系列のCyber Vとなりますので、
もちろんTwitterツールなど用いて、Twitterは管理していると思います。
本当に企業側がこのようなツイートをしてほしくなければ、ツールで管理・制限して防げたはずです。
ということは、企業側は炎上のきっかけになるツイートをアズリムがすることを想定していたし、
炎上・バズることについても想定しており、数日後の謝罪表明についても想定通りだった可能性があります。
企業側としては、炎上してバズればコストをかけずに、チャンネル登録数を伸ばすことができますので、非常に都合が良い方法と考えた可能性は十分に考えられます。
炎上前後での視聴回数の比較
さて炎上・バズって登録数を伸ばしたアズリムですが、炎上前後で視聴回数を比較しますと、
そんなに視聴回数が変わらないどころか、徐々に視聴回数は下がっています。
一部「【アズマリム】人類みなセンパイ【MV】」など炎上後の動画で視聴回数が多い動画がありますが、企業が有料でWEB広告を出しているためです。
WEB広告を出していない状態では、基本的に炎上前よりやや視聴回数は下がっているのではないでしょうか。
個人Vtuberと比較すると
アズマ リムはYouTubeのチャンネル登録者数は約18万人、「バーチャルYouTuberランキング」18位なのですが、
近いチャンネル登録数の個人Vtuber「名取さな」と比較したいと思います。
名取さなはYoutubeのチャンネル登録数は約14万人、ランキングは30位となりますが、動画の視聴回数は明らかにアズリムを上回っています。
なぜ登録数の数値はアズリムよりも少ないのにもかかわらず、
名取さなの視聴回数が上なのかというと、アズリムが炎上で獲得した登録者はファンではないからです。
名取さなのファンについては、動画を見てわかるように本当に熱心なファンがついています。
結局、炎上・バズで登録者数を増加させたところで、ファンが増えるわけでもなく、視聴回数にもつながらないので、炎上マーケティングには意味はありません。
意味はないどころか、企業とトラブルを起こして炎上したVtuberというネガティブなイメージが付いてしまいます。
Vtuberをしていく上で大切なこと
Vtuberで大事なのはいかに応援しくれる本当のファンを増やしていくことであって、
炎上・バズで一時的に話題になってチャンネル登録数や視聴回数を増やしたところで、
それらの人は話題になったから見に来たのであって、そのVtuberのファンにはなりません。
やはり普段投稿している動画で着実にファンを増やしていかないと、
結局、視聴回数は減っていき、その果てには休止・引退が待っているだけです。
最後に
Vtuber業界全体はレッドオーシャンを通り越して、ブラックオーシャン化しましたので、
企業が期待している程の収益化はまず無理です。
Youtubeの場合、動画の視聴回数でだいたいの広告収益は推測できるのですが、
企業の一つの事業としてVtuberを運営していくには、あまりにも少ない額だと考えられます。
グリーなどの大企業がもっと収益につながるように、Vtuber業界全体の仕組みを整えていくなら話は別ですが、直近では難しいでしょう。
現状では中小企業が関わったVtuberに待ち受けているのは、
炎上・休止・引退という悲しい未来ではないでしょうか。。。