現在の主流「製作委員会方式」のデメリットとは?
前回は「製作委員会方式」のメリットを説明しました。
今回はアニメ制作の「製作委員会方式」のデメリットを説明します。
深夜アニメが急増した理由
製作委員会方式のデメリットを説明する前に、
なぜここまで深夜アニメが急増したのかを説明します。
前回説明しましたが、製作委員会方式はリスクは少ないんですが、
単独のスポンサーとなった場合より当然リターンは少ないですよね。
つまりは、ローリスク・ローリターンとういわけです。
そこで、スポンサーは一つの作品では出資する額が少ないため、
多くの収益を上げるため、多くの作品に出資をしようと考えました。
しかし、製作委員会方式になって、スポンサー数が増えたことにより、
今までどおりの作品数では少なく、出資できる合計額が少なってしまい、多くの収益を上げることができません。
結果、スポンサーは出資する額を増やすために、
放送されるアニメ作品、特に深夜アニメ作品の数を増やしていったと思われます。
製作委員会方式のデメリット
製作委員会方式では、出資者が収益を確実に確保することが絶対条件となるため、
作品の内容として大衆受けしやすいものを狙う傾向が強くなります。
新しいアニメの企画、つまりオリジナルアニメなどは「利益が計算できない」ということで通りにくくなりました。
その結果、人気があるラノベや漫画が原作のアニメが増加してしまい、
一方で制作会社発のオリジナルアニメは減少し、制作会社は稼ぎにくい状況になってしまいました。
また本方式では、制作された作品のクオリティや販売戦略に関する最終的な責任までもが分散されてしまうのです。
製作委員会方式で製作される作品では、監督と同様に作品の成否の責任を直接負う立場であるプロデューサーを出資各社が個々に出す事が多いです。
例えばデレマスの場合で説明しますと、
上の画像がデレマスのOPで、4人のプロデューサーの名前を見ることができます。
また、下の画像がデレマスのEDで、4社のスポンサーが見れますね。
おそらく、出資各社から1人ずつプロデューサー出しているのでしょう。
プロデューサーを出資各社が個々に出すことになると、責任が分散するためデメリットが発生します。
制作途中で「これは売れないな」と懸念される状態に陥った場合でも、
責任が分散し曖昧になっているので、誰も軌道修正をしようとはしません。
また、プロデューサーの権限で修正できる程度のことについてさえ、
他社のプロデューサーとの同意を得ることができない場合、
軌道修正ができなくなるような事態になり得ます。
さらに、制作開始後に異なる意見を持つ複数のプロデューサーが、
無用の発言をしたり、介入を繰り返したりした結果、制作現場が混乱・内紛状態となる可能性があります。
例えば、主要スタッフや声優がその出資者側の意向に沿う者に入れ換えられたりするなどして、
作品の内容が迷走・失敗する元凶になる可能性があります。
SHIROBAKOでは、原作者の発言により、ちゃぶ台返しになって混乱状態になりましたが、
そんなことはほぼありえません、原作者の意見はそんなに強くありません。
現場が混乱するとすれば、上記のようにプロデューサーでしょう。
また、出資のリスクが各社に分散される裏返しとして、著作権などの権限も各所に分散されてしまいます。
そのため、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』は自社製作に戻しています。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版が委員会を作らず製作できたのは、今までの実績から自前で作ることが可能だったからでしょう。
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