漫画家と編集者の間でなぜトラブルが発生するのか?
今回はなぜ漫画家と編集者の間でトラブルが発生したり・炎上したりするのかを説明したいと思います。
編集者は漫画家と感覚が全然違う
まず、編集者は漫画家とは感覚が全然違います。
オンラインコミックサイト『漫画 on Web』で新たな漫画の可能性を模索する、
『海猿』『ブラックジャックによろしく』で有名なマンガ家・佐藤秀峰さんのインタビューを下記に記述します。
実際、担当編集者に言われたんですよ。「入社したときに先輩の編集者から編集者の心得として三つ言われたことがある。
一つ目が、”編集者は3人新人をつぶして一人前“。
二つ目が、”作家に絶対謝るな“。
三つ目が、”大物作家とタクシーに乗るときは、作家を奥に入れろ。新人の場合は出口側に座らせろ“」。
だから、マンガ家と編集者は根本的に感覚が違うわけですよ。
僕らマンガ家は、表現者で自分の表現がしたいのに、編集者は自分たちが”マンガを描かせてる“と思ってるから話が通じない。
僕らからすればマンガを多くの人に見せたくて、有名な雑誌に載って、より人目に付くところに発表したいと考える。
そのために出版社がパートナーとして存在している、という順番。創作意欲が大前提。
でも、編集者は、雑誌を埋めるためのコンテンツが必要で、そこにどの作家を選んで何を描かせるかと考える編集者の企画主導。
その点が折り合いつかないことがよくある。
それで、自分を傲慢とも思わないでそれが当然だと思ってる。
若い頃は、なんで大学出てマンガを描いたこともない人間に、
いきなり作品の批評されて「出直して来い」と言われないといけないのかと思ってましたね。
何を分かって批評してるんだろう、と。
編集者は責任を取らない
漫画家が連載を打ち切られても、担当編集者が責任を取って会社をやめるようなことはありません。
2008年にヤングサンデーは休刊して、漫画家は大量に連載を失いましたが、編集者は一人も退社していません。
漫画家と編集者とでは全然環境が違うのです。
編集者全てが漫画好きというわけではない
ではなぜ、上記のように編集者の感覚が漫画家と違ってしまうのかを説明したいと思います。
実は漫画編集者全てが漫画に精通しているとか、漫画愛に溢れているというわけではありません。
超有名大学を卒業して、出版社に入ってくるエリートたちは、マンガ編集への配属を嫌がる者は多いのです。
社会的にリスペクトされている方向に進みたくて、
編集者を目指したのに、漫画みたいな低俗なものはイヤだという編集は多いのです。
前回の記事で書きましたが、出版社に入社しても希望通りの部署にはなかなか配属されません。
必然的に漫画を読んだことなく、漫画が好きでもない人が漫画編集部に配属されます。
漫画愛がなく、漫画編集部でやさぐれている新人編集者は多いのです。
運悪くそんな人が担当についた新人マンガ家は、必然的に潰れてしまいます。
漫画愛をもった編集者でさえも、会社の闇に飲まれていく
確かに漫画愛を持った編集者もいますが、会社の闇にのまれていきます。
漫画家の味方をしていてた編集者も、会社の方針と漫画家の方針が食い違ったとき、
会社に「じゃあ辞めるのか?」となったら、やはりお給料が大事なので、会社の方針を優先してしまいます。