マンガアプリ「comico」の人気作品の休載が多い理由について

2019年3月20日

前回の記事で、電子コミックが拡大していく中での、

漫画家デビューの方法について説明した際、マンガアプリ「comico」を取り上げました。

しかしこのcomicoですが、色々とトラブルを起こして炎上しています。

「ナルどマ」米と書いてめーとる先生の場合

米と書いてめーとる先生は「ナルどマ」という作品を連載していましたが、

2015年6月から長期休載に入った後、連載終了に追い込まれました。

休載のお知らせは本人からではなく、comico運営から出ており、

長期休載の原因は、作者「米と書いてめーとる」さんの体調不良と発表しました。

作者が許可していないのに、運営側がドラマCDを作成していたり、

アニメ化した上に出来が非常に悪いこともあり、comico運営側の対応は非常に問題がありました。

ここで一番問題なのは、作者に対して二次的著作物を創作することに関する許諾(「翻案権」の許諾)を得る必要があるため、作者が許可していないのに、運営側が二次的利用や商品化を行うのは法律的に問題があるのです。

「ネト充のススメ」黒曜燐先生の場合

黒曜燐先生の作品「ネト充のススメ」は2015年7月末から長期休載に入りました。

こちらも休載のお知らせは、本人からではなく、comico運営から出ており、

長期休載の原因は作者「黒曜燐」さんの体調不良と発表しました。

長期休載の中、2017年10月にアニメ化されたため、

ファンはついに連載再開かと期待しましたが、最終的に連載再開とはならず、

2018年6月末で連載終了となりました。

そこで今回はなぜ「comico」でトラブルが多いのかを考えたいと思います。

なぜトラブルが多いのかは、「comico」の特徴を考えるとわかりやすいです。

 

「comico」の特徴

週一で縦スクロールのフルカラー連載

運営側:スマホなどの電子デバイスで見るんだから、縦スクロールのフルカラーにしよう!

漫画家:週一でフルカラー連載というのは、間違いなくきつい。

また、漫画家さんの中には、漫画を描くのは得意でも、

色を塗るというのは、違う能力を求められるので、

色を塗るのが苦手な漫画家さんにとっては非常に辛い。

原稿料は1本5万円~

運営側:原稿料は1本5万円も出せば十分だろう!

漫画家:週一でフルカラー連載なので、もちろんアシスタントを雇いところだが、

5万円ではかなり難しい。

原稿1本あたり50コマ描くとしたら、ページ換算すると10ページ相当であり、

ページ単価は5000円となります。非常に安いです。

おそらく、ランキングTOP10に入るような人気作家でも1本あたり5万円以上もらっている作家さんはほとんどいないと思います。

2017年の年末に、comicoのささき先生がcomico担当者から聞いた話として、comicoの看板作品であるReLIFEでも「1話5万しか払ってないし」と暴露していました。

comicoの公式連載作家は100人以上いますので、

原稿1本5万円だとしても、運営側は月に数千万万以上がコストとなっており、

まだまだマネタイズが上手くできていない現状では、

ランキング上位の人気作家とはいえ、5万円以上を払うのは難しいと考えられます。

おそらくcomicoは「専属契約」だが、高い契約料は出ていない

comicoの人気作品『ReLIFE』を連載している夜宵草氏の

アルファポリスでの連載作品『弱虫リザウンド』が

「諸般の事情により、しばらくの間休載」となっていることから、推測できます。

また、サンデーの編集者が下記のように指摘しています。

「comico」という名前を出しているわけではありませんが、

おそらく「comico」のことだと思われます。

1. 専属契約とマネジメント契約は漫画家さんにとって生命線

2. ただで、そんな契約を結ばせる会社で描いては駄目

3. 作家の最大の権利はどこででも描けることであり、

その権利を捨てるとか、捨てさせるとかありえない

詳しくはこちらのURLを御参考ください。

単行本になる際に大幅リメイク

運営側:縦スクロールから、書籍では漫画のようなコマ割りになるので、

また違った楽しみ方ができるので、書籍にしても買ってもらえる!

単行本用描き下ろし特別編収録や、スペシャル描き下ろしカバーも付けよう!

漫画家:単行本になる際は、いわゆる通常の漫画のようなコマ割りになるように、

本文を大幅に加筆・修正が加えないといけないし、

さらには特別収録や、描き下ろしカバーも付けるとなると、大きな負担になる。

しかも、これらの作業は連載を続けながら、行わないといけないので、

非常に辛く、別途お金が出るわけでもない。

まとめ

以上のように、comico運営の狙いが、漫画家にとってはデメリット・負担になっています。

体調不良で長期休載してしまうぐらいだったら、

定期的に休載してお休みしたら良いと思うのですが、

休んでしまうと顕著にランキングが下がってしまいますので、なかなか休めません。

また、1話あたりのコマ数を減らしたいところですが、コマ数を減らしてしまうと、

ランキングに影響してしまうため、なかなかコマ数を減らすこともできません。

週一フルカラーで、原稿1本5万円では、アシスタントを雇うこともできず、

連載を続けていくのも辛いですし、次の作品を考えるための構想を練る時間もなかなか取れません。

comicoは現在のビジネスモデルを変えないかぎり、

人気連載作家はデビュー作がヒットするだけで終わってしまうため、

ずっと新人を開拓して、デビューさせ続けるしかないと考えられます。

comicoの公式連載が、ここまでデメリット・負担が多いのであれば、

わざわざ企業で連載する必要もないのかもしれません。